陰ヨガが教えてくれた、“静けさ”という最高の贅沢

■ 「静けさなんて、いらない」と思っていた頃

毎日が慌ただしく過ぎていく。
スマホの通知、上司の声、街の喧騒、SNSのタイムライン。
ずっと“音”に囲まれていた私は、いつの間にか**“無音”を怖がる人間**になっていた。

そんな私が出会ったのが、“陰ヨガ”。
静かすぎて、退屈で、眠くて──
でも気づけば、それが**人生を整える“静けさの処方箋”**になっていた。


■ 陰ヨガって何?──“何もしない”が主役になる時間

陰ヨガは、1ポーズを3〜5分ほど保ち続ける非常にゆったりとしたスタイルのヨガ。
筋肉よりも“結合組織”や“関節”にアプローチするため、
動きは少なく、感覚は深く、**「内観のヨガ」**とも呼ばれる。

呼吸に合わせて動く「陽のヨガ」とは対照的に、
陰ヨガは**“動かずに感じる”**ことを重視する。

たとえるなら、

陽ヨガ=音楽に合わせて踊る
陰ヨガ=静かな森で、自分の鼓動に耳を澄ませる

そんな違いがある。


■ 「何もしないこと」が、こんなにも難しいなんて

最初の陰ヨガのクラスで出た感想は正直こうだった。

「え、まだこのポーズ続けるの?」
「ヒマすぎる、飽きた…」
「動きたい、SNS見たい…」

そう、私たちは日常で“何かしていないと落ち着かない”状態に慣れている。
陰ヨガは、“心の多動”を浮き彫りにする鏡のような存在だった。

でも、それこそが最大の価値だったのだ。


■ 「気づく」ことが、癒しの第一歩になる

陰ヨガを続けていくうちに、自分の中にある
・落ち着きのなさ
・思考のクセ
・呼吸の浅さ
に、自然と気づくようになっていった。

特に印象的だったのが、
「今、足の裏に重力を感じてる」
という些細な感覚に感動したこと。

陰ヨガは、私たちが置き去りにしてきた“微細な感覚”を、
丁寧に救い上げてくれる時間だった。


■ “ゆっくり”は、むしろ“濃い”時間

陰ヨガは動かない。だからこそ、1秒が長い。
でもその長さは、退屈ではなく、**“濃度”**だった。

1ポーズで3分。
呼吸を感じ、心の動きを眺め、筋肉の奥でじんわりと何かが開いていく。
たった3分なのに、まるで10分瞑想したあとのようなリセット感が得られる。

ヨガマットの上で“何もせずに得られる濃密な時間”に、
私はどんどん魅せられていった。


■ 陰ヨガを始めてから変わった5つのこと

① 呼吸が深くなった

忙しい日は“呼吸が浅い”という当たり前に、ようやく気づけた。

② イライラすることが減った

怒る前に「今、自分が疲れてるんだな」と自覚できるようになった。

③ 寝つきが良くなった

夜、スマホを閉じてからすぐに“眠りのスイッチ”が入るように。

④ 体が“ゆるむ”感覚を知った

ストレッチでは味わえない、奥深い緩みと安心感。

⑤ 「自分にやさしくする」ことに抵抗がなくなった

がんばることばかりだった日常に、「休む」という選択肢が加わった。


■ “静けさ”は、思ったよりも心地いい

陰ヨガのクラスが終わる頃、部屋には誰も喋っていないのに、
**心が満たされた“音なき充足感”**が広がっていた。

  • 焦らなくていい
  • 頑張らなくていい
  • 競わなくていい

そんなメッセージが、静かに体の奥へ染み込んでくる。


■ まとめ:陰ヨガは、“生き急がない練習”

現代は“スピードの時代”。
でも、陰ヨガはその真逆にある。
ゆっくり、丁寧に、感じることの贅沢。

もし、今あなたが人生に疲れたり、
何をしても落ち着かなかったり、
眠れなかったりしているなら──

陰ヨガは、きっと**「音のない救い」**をくれる。
その静けさの中で、忘れていた“本当の自分”に出会えるかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です