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ヨガ=ポーズ?実はそれ、ほんの一部にすぎない。
「ヨガって、結局なに?」と聞かれたとき、多くの人が思い浮かべるのは、
マットの上で体を伸ばすポーズ──いわゆる「アーサナ」。
もちろん、それもヨガの一部。
でも、それだけじゃ“もったいない”んです。
ヨガの真髄は、実は哲学にあります。
呼吸、考え方、人との向き合い方──
それらすべてを整える“生き方の知恵”が詰まっているのが、ヨガなのです。
この記事では、ポーズを超えたヨガの“哲学”について、
誰でも今日から生かせるように、わかりやすくお伝えします。
ヨガの語源は「つながる」
ヨガの語源は、サンスクリット語の「ユジュ(Yuj)」──“結ぶ”や“つながる”という意味です。
何と何をつなげるのか?
- 心と体
- 自分と自然
- 他人との関係
- 過去と現在
- 思考と沈黙
すべての断絶をやさしく結び直す。
それが、ヨガの哲学の原点です。
ヨガ哲学の教科書『ヨーガ・スートラ』とは?
ヨガの哲学は、紀元前200年ごろ、聖者パタンジャリによってまとめられた『ヨーガ・スートラ』という書物に集約されています。
たった195の短い言葉の中に、人生を整えるヒントが凝縮されているのです。
その中でも有名なのが、**「八支則(アシュタンガ・ヨガ)」**と呼ばれる教え。
ヨガ八支則(アシュタンガ・ヨガ)を超かんたんに解説
1. ヤマ(禁戒)=やらない方がいいこと
- 暴力をふるわない
- 嘘をつかない
- 欲張りすぎない
- 無駄な性欲を慎む
- 必要以上に持たない
→ 自分を整える前に、まず“人として誠実であること”。
2. ニヤマ(勧戒)=やるべきこと
- 清潔を保つ
- 感謝を忘れない
- 努力を惜しまない
- 自分を観察する
- 高次のものを信じる
→ 他人だけでなく、自分にもやさしくまっすぐに生きる。
3. アーサナ(座法)=体の姿勢
私たちがよく知る「ポーズ」。
でもこの段階は、**「心を落ち着かせるための準備」**にすぎない。
4. プラーナヤーマ(呼吸)=呼吸を整える
呼吸は、心の鏡。
呼吸が整えば、思考も感情もおだやかになる。
5. プラティヤハーラ(感覚の制御)
五感に振り回されず、自分の内側に意識を向ける練習。
スマホ断ちや“静かな時間”は、これに近い。
6. ダーラナ(集中)
ひとつのことに意識を向け続ける訓練。
今で言う“マインドフルネス”に近い。
7. ディヤーナ(瞑想)
思考が静まり、ただ「今」にいる状態。
雑念のない“無音の心”が訪れる瞬間。
8. サマーディ(悟り)
すべてがつながっている感覚。
「自分」と「世界」の境目がなくなる体験。
哲学としてのヨガは、日常でこそ輝く
ヨガの哲学は、難しいことではありません。
たとえばこんなシーンに生きています。
- 電車で押されたとき、怒る代わりに「今日は急いでいるのかもしれない」と思う(ヤマ)
- 毎朝コーヒーを飲めることに、しみじみと感謝する(ニヤマ)
- スマホの通知に即反応せず、数分だけ自分の呼吸に意識を向ける(プラーナヤーマ)
- 夕方、ほんの5分だけ“空を見る”時間をつくる(ディヤーナ)
ヨガはマットの上だけじゃなく、**「日常そのものが道場」**なのです。
まとめ:ヨガ哲学とは「自分に戻るための地図」
人生は、毎日が情報や刺激であふれている。
そんな中で、自分の軸を見失ってしまうこともある。
でも、ヨガの哲学は教えてくれます。
「外側の世界をどうこうする前に、自分の内側に静けさをつくろう」
自分の呼吸、自分の姿勢、自分の感情。
まずそこに、ていねいに目を向けること。
それが、“しなやかに生きる”ための第一歩なのです。